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キビソ肌友だちとは

「キビソ」って何?

繭(まゆ) 「キビソ」は生皮苧と書き、緒糸(ちょし)とも呼ばれます。
繭から生糸を引き出す際、まず糸口を見つけます(索緒)。
その時に繭の上層部の上等な糸にならない部分が取り除かれます。
それを集めて糸にしたものが「キビソ」です。

繭は、天の虫・蚕が蛾となるまで自らを守り続けるためにつくるシェルターです。
蚕が一番元気な最初に吐き出す糸「キビソ」は、繭の最も外側で外敵や環境の変化から蚕を守る重要な役割を担うパワーのある糸です。

ひとつの繭からわずか約4%しか取れない糸で、荒削りで不安定なうえに染色も難しく、なにより織り難いために捨てられることが多かったのですが、保湿性に優れ肌がしっとりする成分「セリシン」をとても多く含む部分です。

「セリシン」って何?

「セリシン」は繭に含まれるたんぱく質で人の皮膚の成分にとても近く、保湿性に特に優れた性質があります。
その他にも活性酸素の働きを抑える効果紫外線を防ぐ効果など多くの優れた性質をもっていると言われています。

キビソ肌友だちの特徴

キビソ肌友だちは、キビソにたっぷり含まれる保湿性に優れた成分「セリシン」をお風呂で使って肌に供給する新発想の浴用タオルです。

いわゆる肌擦りのタオルとしてではなく、毎日のお風呂タイムを利用して「セリシン」をお肌に供給してスキンケアを無理なく続けていくために作ったタオルです。

キビソ糸を巻き取る シルクの経糸(あし絹:肌触りの柔らかい糸)とキビソを横糸に、手織りで丈夫な平織りに織り上げています。
経糸の「あし絹」もセリシンを取り除かない状態で糸になっていますので、乾いた状態では通常のシルクのイメージよりも硬いのですが、キビソほどではありません。

そこで、2種類の糸の特徴を生かすためにしっかりと経糸に張力をかけて詰めて織った丈夫な生地のハードタイプと、大変織り難くはなるのですが経糸の張力を出来るだけ緩くして、「あし絹」の経糸が横糸の「キビソ」を包むように織ったソフトタイプの2種類を作りました。

どちらも同じ糸で織っていますが、この手織りならではの手間のかけ方によって、用途の幅が広がりました。

ハードタイプは、しっかりと詰めて織り、生地が丈夫で、身体洗いや特に踵や肘が気になる人におススメです。
使う感覚は厚手の「日本手ぬぐい」といったところ。
石鹸をつけて「セリシン」がヌメリとなって溶けだしてくると、お子様や年配の方にはやや掴みにくいと思われる場合がありますので、ハードタイプは少しでも引っ掛かりとなるように両端を三つ折りにしてかがっています。
そのため切り分けが出来ません。
用途に合わせて4種類のサイズからお選び下さい。

ソフトタイプ経糸のあし絹がキビソを包み込むように織り、ワザと経糸が揺らぐように織っています。
使い心地は「ガーゼ」のような感覚で、こちらは特にお顔など柔らかい部分にも使いたい人におススメです。
打ち込み(横糸の詰み具合)も緩やかに織っていますので、横糸のキビソはハードタイプの約2倍の太さにしています。
生地の隙間からキビソに含まれた「セリシン」がワーッと出てくるイメージです。

ハードタイプとソフトタイプ、どちらも同じ糸で織っていますのでお好みで選んでください。

もちろん、どちらのタイプもお肌のケアが目的ですので身体にもお顔にも使えますが、生地がなじむまでの数日は硬いですから、お顔は直接タオルをあてるのではなく、「セリシン」が石鹸に溶けだしたヌメリをすくい取って、手の平で洗顔されることをお勧めします。

キビソ肌友だち誕生秘話

絹と呼ばれない糸。キビソ

キビソ キビソとの出会いは私たちがまだ西陣の帯を織っていたころです。
新しい趣のある帯をつくるために絹糸の産地を訪ねて、糸を引くところやいろんな糸に加工された絹を見せてもらった時に、空き地にいくつもうず高く積まれた糸くずの山を見て通りました。
どうしても気になり帰り際に尋ねると、「絹と呼ばれない糸もあるんだ。」と言われました。
それが「キビソ」だったのです。

間もなく夏帯を織るために経糸として巻かれて工場に届いたキビソに驚いたのは独特のにおいでした。
その経糸を機(はた)にかけるために一本一本繋ぐのですが、粗削りな上に不揃いで硬いので、すぐに指先が痛くなってしまうほどでした。
やっと繋ぎ終えたころに横糸になるキビソも届いたのですが、これがまた経糸の比ではないほどのにおいで、工場のみんなが機から降りてきてキビソを覗き込んでいたことを思い出します。
結局は織り始めてみたものの、独特の風合い、無数の毛羽立ちなどが災いして1日に数cmしか織れなくて、その間試行錯誤しながら時間と手間をかけた生地見本はたくさん織ったのですが「もじり織り」技法の夏帯にすることは断念しました。

しばらくして渡文の渡邉社長から「キビソの生地を風呂で使ったか?」と尋ねられました。
帯の生地としか見ていなかったので当然そのようなことはしたこともなく、アイデアマンの社長がおっしゃることなので半信半疑で使ってはみたものの、お湯に浸けると湯気とともにまたあのにおいが・・・。

地元のじいちゃん、ばあちゃんの悩み

そんなころ、手織り体験に来られた地元のじいちゃん、ばあちゃんたちが
「お風呂で温もって布団に入ると背中がチクチクして眠れんのよ。」
とか、
「この時期かかとが割れて、歩くときの一歩一歩が痛くて、痛くて。」
と悩んでおられる話を耳にしました。

そしてそのような方がまわりにたくさんおられることも知ったのです。

年齢を重ねていくうちに、代謝も衰え、肌の保湿力も弱まり乾燥しやすくなります。
お話を聞くと、おじいちゃんたちはお風呂でしっかり赤くなるほど擦らないと洗った気がしないと言われる方も多く、毎日お風呂で石鹸を付けてナイロン製の浴用タオルでゴシゴシ洗ってしまうと余計に肌にダメージを与えてしまいます。

その結果が「寝ようとすると、背中がチクチクむず痒くなる。」という悪循環を招いてしまうのです。
「背中が痒くても手も届かんようになってしまったし、一人暮らしだと柱に頼るしかない。」「病院で乾燥肌だからとクリームをもらっても、ばあさんは先に逝ったから背中なんかにつけられんわなぁ。」そんなことを笑い話のようにされている人たちに支えられて、この地域は成り立っています。

帯織りからタオル織りへ

渡文の渡邉社長が教えて下さった、キビソに多く含まれる保湿性に優れた「セリシン」の魅力。

工場が独り立ち出来るように織りの技術を生かして地元の産品を作りなさいと、渡辺社長に強く後押しをしていただきながら、このキビソ糸に多く含まれる保湿成分を簡単に乾燥肌ケアができるものとして浴用タオルを織り始めました。

それまでは帯を作っていた自分たちですので、その枠から抜け出すのも一苦労でした。

幅一つとっても長年身に付いた帯幅の感覚を払しょくし、使いやすいタオルの幅を見つけるところからのスタートです。

扱い難いキビソに悪戦苦闘しながらも、タオルとしての性能を高めるために経糸は敢えて「あし絹」を使うよう改善したり、織り機や打ち込み(詰み具合)を改良したりと、渡文から京都・西陣の知恵をたくさんいただきながらなんとか形になりました。

そして、渡辺社長に「キビソ肌友だち」という名前もいただきました。

地元のじいちゃん、ばあちゃんへの親孝行グッズ

なかなか生活習慣は変えられません。
お風呂の入り方も人それぞれ、歳を重ねると尚更です。

それでも、ナイロン製の浴用タオルを持ち替えるだけで知らず知らずのうちに、毎日のお風呂タイムで肌を優しく守りケアが出来るようにと、キビソ肌友だちは、現役でこの地域を支えているじいちゃん、ばあちゃんのための親孝行グッズとして生まれた浴用タオルなのです。

私たちの住む弥栄町も昔は養蚕が盛んで、まわりには桑畑が一面に広がっていた地域です。

幼いころから身近にいたお蚕さんが生きていて、みんなが精一杯の世話をして大事に育てていたことを知っています。

このキビソを使ったものづくりの動機の
ひとつに、いただいた命を粗末にしない、せっかくお蚕さんから受け取った糸を使い切るために、「セリシン」という保湿性に優れた成分をたっぷりと含んでいながら織り難い、染めにくいと敬遠されていたキビソを素材に選んだことも合わせて知ってもらいたいと願います。

効果的な使い方


この保湿成分のセリシンは、お湯とせっけんのアルカリ分に反応して溶け出します。

特に使い始めは生地を目覚めさせるような気持で、石鹸をつけてよく揉んでから使用してください。

物足りないようなら途中でも石鹸を付け足してヌメリを引き出して下さい。

使い初めの2、3日は生地が馴染まないために、お顔を洗う際はハードもソフトもヌメリを手にとって、直接生地を肌に当てずに手の平洗いをおススメします。

極端な話、タオルを直接肌に当てる必要はないのです。
キビソ肌友だちで、お身体を洗ううちに生地がだんだんと馴染んできます。
そうなったらお顔を撫でるようにお使いください。

保湿成分を受け取るのが目的のタオルですので、撫で洗いが基本ですが、ご自分の肌と相談しながらお使いください。

顕微鏡で見るとシルクの断面は三角形になっているのが大きな特徴のひとつです。
この顕微鏡レベルの三角形の糸で肌を撫でることにより優しく不要な角質を落としていくため、くすみが取れたり肌のトーンが明るくなったりと好印象をもたれるようです。
絹が肌によいと言われる理由のひとつです。

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